学校教育法・国立大学法人法改正法案に反対し、今国会での廃案を求める声明

 2014年6月18日 東京海洋大学品川職員組合執行委員会

 国立大学法人東京海洋大学で働く教職員で組織する私たち東京海洋大学品川職員組合は、このたび政府提出法案として第186通常国会で審議中の「学校教育法及び国立大学法人法の一部を改正する法律案」が下記の点で日本の大学、特に国立大学の運営及び教育・研究に重大な悪影響を及ぼすおそれがあるものと考え、ここに同法案に反対の意思を表明するとともに、今国会における同法案の廃案を求めます。

      記

1.学校教育法の改正案においては、教授会が《重要事項を審議する》審議機関から《学長の求めに応じて意見を述べる》諮問機関に変質させられています。
 教授会が審議に基づき学長に意見を述べても、学長がこれを尊重せず、独断で教育研究組織の改廃、教員の配置・任免・懲戒といった重要事項を決定することが法的に公認されるものとなっています。
 しかも、6月17日の参議院文教科学委員会での質疑における下村文部科学大臣の答弁では、改正法成立の暁には文科省内に有識者会議を設置して学長が教授会に意見を聴取すべき事項、聴取すべきでない事項のガイドラインを策定させ、このガイドラインに適合させるよう、全ての大学に教授会の審議事項に関する学内規則・内規等の規程の見直しを促すとしています
 学問の自由(憲法23条)の制度的保障としての大学の自治には、教授会自治を通じた教員の身分保障、また教授研究の自由の保障が含まれるほか、どのような事項を学長が自ら判断し、どのような事項を教授会の審議に委ねるのかについて大学が自主的に定めることも当然含まれるべきものです。改正法案の文言及び大臣答弁で示されている改正法成立後の運用方針は、明らかに大学の自治を大きく損なう内容を含んでいます。

2.国立大学法人法の改正案では、各国立大学法人におかれる学長選考会議が学長選考にあたり事前に選考基準を公表することを義務付けるとしています。
 この義務付けの立法趣旨として国会審議で文部科学省が述べているのは、各国立大学の《ミッション》の達成に資する人物を学長選考会議が自ら選考できるよう、選考基準を定め公表させるというものです。
 しかし、昨年から今年にかけ実施された文科省による《国立大学のミッションの再定義》作業が、各国立大学に「学内資源配分の大胆な見直し」による学部学科、研究科等の改廃を実質的に強要するものとなっていることからも明らかなように、《ミッションの達成に資する人物》を選考せよ、という改正法の立法趣旨は、事実上、文科省の意向に忠実な改革を強力に実行する人物のみを学長にせよと述べているに等しいものです。

(本声明に関するご連絡先)
東京海洋大学品川職員組合(執行委員長 小暮)
電話 03-5463-0400(組合事務所内線2179)
電子メールアドレス s_union[at mark]m.kaiyodai.ac.jp
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